荒廃した地上で生き延びるための装甲車です。
先日、満を持してEVメーカーのTeslaからお目見えした、サイバーパンクなトラックCybertruck。「残忍で角ばった野獣」などと呼ぶ人たちもいる中、Tesla好きや、映画『ブレードランナー』などの80~90年代のSF映画好きにとっては、あの登場はまさに天才的瞬間でした。
今わかっているスペックによりますと、このCybertruckは路面で幅を利かせているプリウスなんかを蹴散らす、爆速マシーンになりそうです。ですがもっと深く見てみると、Cybertruckが思い描いている真のヴィジョンは、完全にディストピアを見据えたものなのです。
未来の兵員輸送装甲車
CEOのイーロン・マスクも公開前にツイートしていますが、実はこれは「未来の兵員輸送装甲車」だったりします。
Cybertruck doesn’t look like anything I’ve seen bouncing around the Internet. It’s closer to an armored personnel carrier from the future.
— Elon Musk (@elonmusk) 2019年10月14日
Cybertruckは、ネット上で飛び交っているどれにも似ていない。未来からやって来た未来の兵員輸送装甲車の方が近い感じだね
すべてが電気で動きますが、Cybertruckは気候変動の危機と戦うために必要とされるわけではないようです。発表会にて強化ガラスが割れる失敗はさて置き…。このトラックのデザインは、持てる者と持たざる者のアツく暴力的な未来のために、意図的にこう作られていのではないか?と思うのです。
自動車は禁止すべきという人たち
Cybertruckのデザインは、それなりの一定層にはイカしていると思われています。ですがコレは、自動車が個人的な移動手段として必要な存在であり、大型のクラクションを鳴らすトラックがその用途に最適な手段である、といった考えに深く傾倒しています。
米Gizmodoでは(誰に聞くかによりますが)、気候変動と戦うためには自動車を禁止する必要があるという議論がされています。そうでもしない限り、道路に車が増える→渋滞が増える→排ガスが増える→道路も増える、という一連の流れが繰り返されることになるからです。
電気を供給するには、化石燃料を燃やさねばならない
自律運転車が気候のための決定打ではないように、電気自動車(もしくはCybertruck)にも同じことが当てはまります。
Cybertruckがプラグイン式の電気自動車であるのは素晴らしいことですが、米国の電力網の大部分は今でも汚染源となる化石燃料エネルギーで動いており、インフラの整っていない国は言うまでもありません。えぇ、そうした大規模なエネルギー供給源の方が規制しやすいですが、今はまだ化石燃料に依存しています。そして、Cybertruckの生産が予定されている2021年でも続いているでしょう(Teslaは住宅用ソーラーパネルも製造し、Cybertruckにもパネルを付けられますけどね)。
このような「化石燃料をエネルギー源とした状況が続いている」現状が、Cybertruckの設計に最大の洞察を与えているのかもしれません。産業革命以降、世界の気温は1度ほど上昇しました。その結果、世界中で気候変動による被害が発生しています。そして最近の報告書が明らかにしているように、世界の指導者たちは将来の被害を減らすことを熱く約束している一方で、今後数十年間に大量の化石燃料を汲み上げる計画を立てています。
イーロンは嘆いている
イーロン・マスクは気候変動について「人類が今世紀最大の脅威に直面している」と言っています。そして彼の功績は、その脅威を少なくとも緩和するため、本当に多くの仕事をしてきたことです。しかしそれでも、「今日における難民問題は、私たちが気候変動に関して行動を起こさなければ、将来がどうなるかを示す小さな指標かもしれない」と指摘していて、まさしくその通りだと思うんです。
もし気候変動が今止まっても、影響は止まらない
たとえ世界が一丸となって取り組み、今後十年間に二酸化炭素による汚染を何とか早急に減らし、気温を産業革命以前の水準から2度以内に維持するというパリ協定の目標を達成できたとしても、まだ私たちは相当深刻な気候変動の影響に囚われたままとなるでしょう。
気候変動がすでにもたらしている撹乱効果や、世界中(特に収入のある階級)で高まっている不安を考えると、このEVは将来の気候の混乱に利益をもたらす機会として見ることができるかもしれません。
アメリカでの被害アレコレ
気候変動によるディストピアは当たり前ではありませんが、現状に目を向けるとすでに各地で警報が鳴り響いています。
海面上昇はすでに沿岸住民の後退させており、大規模なインフラ投資は上げ潮を食い止めるのに充分ではないでしょう。気象災害は住宅危機を引き起こし、計画停電につながり、農家の作物栽培能力をダメにしてしまいました。アメリカだけでもこんなことに。
それが世界規模で起こると、富裕層はこのトラックで逃げる
これを世界中の未来に当てはめてみると、資源がますます不足し始め、内燃機関を搭載した自動車が禁止される世界を想像するのは難しくないことと思います。
そして公共輸送への投資(またはその問題に関する何か)は引き続き低迷し、格差は拡大しています。超富裕層はニュージーランドや火星に逃げ出しますが、普通の富裕層は、施しを求める人々を避けるべく、手頃な値段の移動式要塞を探しているに違いありません。
あの発表会以降Teslaが割れた窓ガラスを割れないように改良していれば…、そしてCybertruckが「ほとんど侵入を許さない外骨格、およびすべての部品が優れた強度と耐久性のために設計されている」のであれば…、間違いなく富裕層が求める条件を満たします。
Cybertruckのシングル・モーターRWDなら値段は39,900ドル(約433万円)で、航続距離は約400km以上。これは人類の10%が所持することでしょう。そして富裕層である1%は、航続距離が約800kmで69,900ドル(約760万円)のトライ・モーターAWDを購入するでしょうね。残りの人類は、もう『マッドマックス』をお手本にし、どうにか生き延びるしかありません。
火星で走らせるための試作品?
また、イーロン・マスクはCybertruckを完成後に火星で走らせるための試作品として見ているフシがありそうです。もしくは、Cybertruckをホットな話題としてネットの海を泳がせるための誇大広告かも?
いずれにせよ、地球上における移動手段の将来の展望としては、ユニークであると同時にダークでもあります。なにせ、過去の失敗を再現するだけでなく、それらを熱く・危険になる未来に備えて兵器化するのですから。
Source: Twitter, TESLA, RolingStone, Inc., Bloomberg
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November 26, 2019 at 07:00PM
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