2019年11月22日、テスラがEV(電気自動車)ピックアップトラック「サイバートラック」のアンヴェールイベントをロサンゼルスの会場で開催した。
シングルモーターの2WDモデルと、デュアルモーターの4WD、トリプルモーターの4WDの3モデルがあり、価格はそれぞれ3万9900ドル(12月6日時点では日本円で433万3924円)、4万9900ドル(542万0120円)、6万9900ドル(759万2513円)からとなっている。同社Webサイトで受注を受け付けており、100ドルで申し込み可能としている。
実はこの最新モデル、ウィンドウが高い防弾性能を誇ると謳っていた。しかし、そのデモストレーションでまさかのガラス破損という事態が起きてしまったのだ。
今回はそんなテスラの最新モデルを紹介しつつ、あまりなじみのない防弾ガラスとはそもそもどんな物なのか? 破損したらダメなものだったのかなどを解説していきたい。
文/高根英幸
写真/Tesla
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■ベンチャー企業としては成功したテスラ
現時点ではEVベンチャーで唯一成功していると言える企業、テスラ。その躍進の理由は既存の自動車メーカーにはない大胆な発想と、それを実現させる決断力、そして民衆を惹き付ける商品力とその見せ方にある。
そう、テスラCEOであるイーロン・マスク氏の話術、求心力なくしてテスラは成り立たない。斬新なアイデアが盛り込まれたクルマを開発するだけでなく、それがいかにこれまでにない素晴らしいクルマであるかをアピールして購買欲を煽るのが、テスラのやり方なのである。
そもそもベンチャー企業なので、投資家から資金を集めてEVの開発や生産を開始したが、企業規模が大きくなった現在では、ファンを育て、予約を集めて予約金を払ってもらうことにより資金を集め、開発や生産設備への投資を可能にしてきた。
■テスラが新たに送り出した斬新なピックアップトラック
モデルXやモデル3はこうした方法で生産された、テスラ独自のビジネスモデルなのである。そして先日、また新たなモデルが発表された。それがピックアップトラック型のニューモデル「サイバートラック」というワケだ。このクルマにはテスラだけにEVであるだけでなく、ピックアップトラックとしても、これまでにない斬新さが盛り込まれた。
北米は雨が少ない気候(と言っても広いので実際には気候も幅があるが)とあって、日本よりもオープンデッキなピックアップトラックが使いやすい。しかも乗用車であるSUVと違って商用車のカテゴリーになるため、税金が安く維持費の負担が少ないこともあって人気のカテゴリーだ。
燃料価格が日本よりも安いことから、フルサイズの大排気量車を豪快に乗り回すユーザーは依然として多い。ピックアップトラックは北米ではSUT(スポーツ・ユーティリティ・トラック)とも呼ばれ、日本のSUVのように人気のカテゴリーなのだ。つまり北米におけるピックアップトラックは、日本の軽自動車と同じくその地域で独自に発展した、その市場だけの固有種のような存在と言える。
だから、ガソリンの安い北米でEVのピックアップトラックを発売するなら、単に燃料費が安く済むとか、環境に優しいというだけでなく、インパクトのあるアピールが必要だ。そこでマスクCEO率いるテスラは、サイバートラックにインパクトのある要素を盛り込んだのである。
スタイリングデザインは個人で好みが分かれるところ、好き好きと言える部分だが、まるで30年前のTVゲームから飛び出してきたような、物凄く単純にポリゴン処理されたような大胆なデザインはインパクト十分ではある。
先日の発表会はインターネットでライブ中継され世界中で視聴されたが、そこでハプニングが起こったことはどこかのニュースで目にしていることだろう。
■防弾ガラスがまさかの破損! でも防弾ガラスとしては正解?
サイバートラックの特徴のひとつに、高い乗員保護能力が挙げられる。ボディは硬質なステンレス板を折り曲げて作られており、非常に強靭に仕上げられている。通常であれば構造材ではない前後のフェンダーパネルまで一体化して構造体とする外骨格構造「エクスケルトン」は、結果として補強を減らして重量増を抑えられそうだ。
視界を確保するためのガラスも「テスラ アーマードガラス」と名付けられた、防弾性能の高いガラスが用いられている。ハプニングはこのガラスの性能を示すために、チーフデザイナーのフランツ・フォン・ホルツハウゼン氏が鉄球を投げつけた際に起こった。
その前段階にボディパネルをハンマーで叩いて、従来のボディパネルでは変形してしまうような衝撃でも変形しないところを証明していたから、発表会場(ロサンゼルスにあるテスラのデザインセンター)の観客も当然、ガラスも無傷で鉄球を跳ね返すと想像していたハズだ。ところが、ガラスはあっけなく割れてしまった。これには観客も視聴者も驚いた。当のマスクCEOも微妙な表情を浮かべたから、想定外という印象を与えた。
だが、「防弾ガラス」というと拳銃の弾丸も弾いてしまうようなアニメのシーンをイメージするかもしれないが、防弾仕様のクルマに使われるガラスはそれほど硬質なものだけでできている訳ではない。
防弾ガラスはそのレベルにもよるが、強化ガラスやポリカーボネートなどの樹脂を何層にも重ねて表面は硬く、そして弾丸が当たった衝撃力を吸収できる構造になっている。このあたりはガラスメーカーや防弾仕様への改造を行なう架装業者によって、ノウハウがあるようだ。
米国や欧州では、VIPや富裕層のためにクルマを防弾仕様に加工したり、防弾仕様の車両を販売する業者がいくつも存在する。防弾仕様については米国司法省やEUのCEN(欧州標準化委員会)で基準があり、強度や機能が定められている。
以前は強化ガラスと普通ガラスを中間膜を介して張り合わせて使われていた(防弾仕様にもよるが、サイドウインドウの厚みは4~5cmにもなった)が、今ではガラスと樹脂を交互に重ねることで、より薄く強いウインドウを実現している。
ポリカーボネートは非常に強靭な樹脂のひとつだ。機動隊など特殊な警備にあたる部隊が使っている透明な盾、あれがポリカーボネート製であることはご存知だろうか。あれは拳銃の弾丸程度であれば跳ね返すほどの強さを誇るのだ。
「鉄球を強く投げ過ぎたのでは」という意見もあるが、銃弾のもつエネルギーを考えればあの程度の勢いでは不十分なくらいだ。マスクCEOが「でも貫通はしていない」と言ったように、銃弾を貫通させないことが大事で、それには衝撃力を受け止める必要があるのだ。
通常のガラスでは木っ端みじんに砕けてしまうし、銃弾が貫通して内部の人間にも損傷を与えてしまう。しかし、防弾ガラスなら表面のガラスは割れてもバラバラに砕けるようなことはなく、よほど同じ箇所に集中して何度も銃弾を撃ち込まれない限り、貫通させるのは難しい。
世界のVIPを乗せるクルマの場合、拳銃での襲撃だけでなくライフルによる狙撃や爆弾によるテロなどの危険性からも守る必要があるため、耐爆仕様はボディの底部までガッチリと補強した構造になっている。タイヤもランフラットよりワンランク丈夫なランガード仕様とするなど、より厳重な装備が施される。そのため車重はベース車両の4~5倍にもなるようだ。
現時点でサイバートラックの車重などは発表されておらず、ボディスキンのステンレス鋼は薄いと言われているので、ガラス以外の部分が防弾仕様になっているかは不明だ。来年の発売時にはより詳細な情報が伝えられることだろう。
結果として、防弾ガラスにヒビが入ってしまったことがニュースになり、話題性はさらに上昇。サイバートラックは、発表3日後には20万台もの予約が入ったと言われている。
マスクCEOにとっては万万歳、文字通りインパクトのあるニューモデル発表会になったようだ。
※編集部注:後日マスク氏は、「割れてしまった防弾ガラスは、ボディを先に叩いたことで問題が発生した。だから、今後のパフォーマンスの際はガラスに鉄球を投げてから、ボディを叩くよ」と語っていた。また、トラブルが発生していなければ、銃弾の衝撃力には遠く及ばない鉄球を投げても、跳ね返すだけの性能を持っていることを、後日公式チャンネルの動画で公開している。
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December 08, 2019 at 09:00AM
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