米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は中国では猛スピードで新工場を開設し、株価を過去最高水準に押し上げた。だが、それに倣ったドイツでの工場建設は減速を迫られそうだ。
テスラは11月に発表したドイツ・ベルリン郊外への工場設置計画について、ここ数週間に詳細を明らかにした。ブランデンブルク州の新工場は、中国工場の1年未満という工期には及ばないまでも、極めて短い期間で建設される予定だ。しかし、マスク氏は自ら挑戦的な期限を設定し、しばしば守れないことでも有名だ。
ドイツ工場の建設は2つの特異な課題に直面している。着工前に用地から移動する必要のあるコウモリのコロニーと第2次世界大戦の不発弾だ。
中独2カ所の海外工場はテスラを世界的な自動車メーカーに成長させる鍵となる。米カリフォルニア州フレモントの主要工場と合わせれば、テスラの生産能力は年間100万台を超える可能性がある。同社の年産台数は2015年の約5万台から19年には36万台超に増加した。
100万台の大台をいつ突破するかは分からない。ドイツでは当初、年産15万台を予定しており、いずれ中国の目標と同程度の50万台に引き上げる計画だ。
テスラはコメントの求めには応じなかった。
ブランデンブルク州政府への届け出によると、ドイツ工場は21年7月に操業を開始し、大衆車「モデル3」や新小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルY」を生産する。
届け出によると、工場で雇い入れる労働者は4000人弱になるが、生産が増加すれば8000人以上に増える可能性がある。
現地当局は「中国を上回る決意」
ドイツに前回建設された自動車工場は、フォルクスワーゲン(VW)傘下ポルシェ初のセダン型完全EVの組立工場だった。15年に起工し、生産開始まで4年かかった。
ポルシェは厳しい環境や建築基準を満たさなければならなかった。ドイツ南西部シュトゥットガルト近くに建てられた工場は、街中への風の流れを妨げないよう高さを38メートルに抑えるため、多くを地中に収める必要があった。
自動車業界では工場を1年半未満で完工した例はほとんど聞かないが、テスラは上海でそれをやってのけた。中国企業と手を組まずに現地で生産工場を設置する初の外資系自動車メーカーになるためには、当局から認可を得るのに数年を要した。しかし、いったん認可が下りると、中国政府の後ろ盾を受けるさまざまな企業がその「ギガファクトリー」の建設を全力で後押しした。
着工から12月末の初納車まで1年かからなかった。この上海での偉業が好感され、テスラの株価は急伸。17日終値は510.50ドルと19年6月に付けた年間安値の178.97ドルを大幅に上回っている。
テスラはVWよりも販売台数がはるかに少ないが、時価総額では同社を追い抜き、トヨタ自動車に次ぐ世界第2位の自動車メーカーに踊り出る勢いだ。
だが労働や規制、環境に関する懸念を踏まえると、ドイツで中国の成功を再現するのは容易ではない。モーニングスター・リサーチ・サービシズのアナリスト、デービッド・ウィンストン氏は「ギガファクトリー上海を1年未満で開設したのは驚異的だ」とした上で「ドイツで中国と同じくらい早く許可が得られるとは思えない」と述べた。
現地当局は懐疑的な見方を払しょくしようと努めている。ブランデンブルク州のヨルグ・シュタインバッハ経済相は、めったに使用されない法律を発動し、州政府が規制上の審査を迅速化できるようにした。テスラは12月末までに正式な申請書を、そのわずか数週間後に環境影響調査報告書を提出することができた。
シュタインバッハ氏は「テスラは中国の速さで事を進めている」と指摘。「ここのテスラチームは中国で工場を設置したチームをわずか数週間でも上回る決意だ」と述べた。
マスク氏が昨年、ドイツに工場を建設する計画を発表した際、ブランデンブルク州政府は承認プロセスを迅速化するため作業部会を設置した。また同州は10年前、独自動車メーカー、BMWが同じ場所に工場建設を検討した際、高速道路や鉄道アクセスも整備したため、テスラはその恩恵も受けるはずだ。BMWは最終的にライプチヒを選んだ。
規制の免除申請も
だがテスラにはまだ難題が残されている。その1つがコウモリだ。テスラの工場用地に指定された382エーカーにわたる松林には保護対象のコウモリのコロニーがある。テスラはすぐにでもそれを移動し、3月までに木を切り倒せるようにする必要がある。春に巣に戻る鳥などの動物を保護するため、ドイツの環境法でその時期は伐採が禁止されているためだ。
独環境ロビー団体NABUのクリスティアーネ・シュレーダー代表は「コウモリは2月末から3月くらいまで冬眠している。その後、交尾シーズンが始まる」と話す。
コロニーの移動が間に合わなければ、伐採が数カ月遅れ、建設スケジュールが大幅に狂いかねない。テスラはプロジェクトの政治的な後ろ盾に期待し、規制の免除を申請する可能性もある。
同社は7日に公開した環境影響調査報告書で、コウモリを移動し、伐採した木1本につき3本を別の場所に植樹することを約束した。シュタインバッハ氏は、テスラが懸念に対処するため環境団体と協力していると述べた。
テスラの計画の反対派と賛成派双方を含む少数のデモ隊が18日、用地近くに集結し、それぞれの見解を訴えた。開発に関する正式なコミュニティー集会は3月に予定されている。
しかし、テスラはドイツでは珍しくないが、同社にとっては確実に新たなもう1つの障害に直面する可能性がある。不発弾だ。
ブランデンブルク州のアクセル・フォーゲル環境相は「この土地には第2次大戦時の兵器があるようだ。具体的には米軍機が投下した爆弾だ」とし、「不発弾はわれわれが必ず撤去する」と述べた。
不発弾の撤去費用はドイツが負担するが、それによって建設に遅れが生じる可能性がある。
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January 22, 2020 at 11:28AM
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