【フランクフルト=深尾幸生、ジュネーブ=細川倫太郎】欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ（FCA）は11日、新型コロナウイルスの感染が拡大するイタリア国内で、一部工場での生産を一時的に休止すると発表した。イタリア政府が10日に全土の移動制限を打ち出し、従業員が出社しにくくなったり、部品調達に支障が出たりしていることが原因とみられる。新型コロナの影響はイタリアを代表する製造業の生産休止に及んできた。
FCAはイタリア国内の工場を必要に応じて一時休止する（写真は伊北西部トリノの工場）=ロイター
休止の対象は同国南部にあるカッシーノ、メルフィなど4工場。それぞれ11～14日の期間中、2～3日休止する。稼働する工場でも現場や更衣室などの消毒の頻度を上げるほか、生産ラインの従業員を配置する場所の間隔を広げる。
FCAは同国内に7つの完成車工場と、複数の部品工場を持つ。「フィアット」ブランドの車種のほか、「ジープ」の多目的スポーツ車（SUV）、「アルファ・ロメオ」と「マセラティ」の高級車を生産する。同社は2月から事務系の従業員は在宅勤務に切り替えていた。
一方、同国内に10工場を展開する自動車部品大手のマレリは、封鎖されたロンバルディア州のコルベッタに主力工場を抱える。周辺自治体に住む従業員が出勤できず、稼働率を数割落としている。他の9工場も稼働はしているものの、子供の通う学校が休校となり数十人の従業員が出勤できておらず、稼働率を数%落としているという。
イタリアでは物流が停滞する懸念も広がる。オーストリアは10日、イタリアから医師の証明書なしに入国することを原則禁止すると発表した。イタリアを出発したトラックはオーストリア経由でドイツなどに向かう。伊メディアによると、それ以前からトラックが国境付近で足止めされ運転手が「健康観察期間」を課されることもあるという。伊国内でも高速道路や空港などで検問が実施されている。
イタリアでは10日から全土の移動が制限されている。先に封鎖が始まっていた経済都市ミラノがあるロンバルディア州や、ベネチアがあるベネト州など北部地域は経済の要だ。両州でイタリアの国内総生産（GDP）の約3分の1を生み出す。
高級ブランド「アルマーニ」や「プラダ」がミラノに本社を置くなどファッション産業が盛んで、繊維や皮革、宝飾品などを手がける企業は多い。自動車関連や精密機械などの製造業も集中する。ドイツやフランスなど周辺国に部品や完成品を輸出しているケースは多い。
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March 11, 2020 at 05:19PM
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FCA、イタリア工場の生産一時休止 新型コロナで - 日本経済新聞
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