日産自動車の米キャントン工場(ミシシッピ州)(出所:日産自動車)
日産自動車は17日、米国に構える全工場の再稼働を5月半ばまで延期すると発表した。3月20日から工場を止めており、4月下旬の再稼働を目指していた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大によって作業者の出勤が難しくなっていることや、新車の需要が縮小していることを織り込み、減産に踏み切った。
「もともと北米での販売は低迷していたが、新型コロナの影響が追い打ちをかけている。正直、かなり厳しい」。日産のあるマーケティング担当者は頭を抱える。
日産の2018年度販売実績によると、同社は米国で年間144万台を売り上げている。これは、年間156万台を販売する中国市場に次ぐ規模だ。感染拡大による米国の工場停止や自動車市場の縮小は、同社にとって業績の下振れ要因になり得る。
日産は米国に3カ所の工場を構えており、北米市場向けの中・大型SUV(多目的スポーツ車)やピックアップトラックを主に手掛けている。完成車工場としては、「アルティマ」「ローグ」「マキシマ」などを生産するスマーナ工場(テネシー州)、「ムラーノ」「タイタン」「フロンティア」などを生産するキャントン工場(ミシシッピ州)がある。加えて、エンジンや変速機はデカード工場(テネシー州)で造っている。
さらに、米国以外の工場でも稼働停止が相次いでいる。日産は4月17日現在、日本の栃木工場や九州工場をはじめ、英国やメキシコ、インドやタイなど計11カ国で工場を動かせずにいる。中国に持つ7カ所の工場での生産は再開しているものの、グローバルでの生産台数の削減は避けられない。
(日経クロステック 窪野薫)
[日経クロステック 2020年4月17日掲載]
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