トヨタ自動車は3日から、愛知県や福岡県などの国内5工場で、計7つの生産ラインの稼働を止めた。新型コロナウイルスの感染拡大により海外需要が急減しているためで、生産停止の動きが北米や欧州などから国内にも波及した。感染終息が見通せない中、日産自動車や三菱自動車に加え、部品メーカーも国内工場の稼働停止や減産に追い込まれ、生産活動の先行きは不透明さを増している。

トヨタは他社への委託分を含め国内では18工場で生産している。停止の対象となった工場は、いずれも輸出向けを手掛けている。停止期間は最長で今月15日までを予定しており、期間中の減産規模は約3万6000台。

生産が一定期間、完全に停止するのは、堤工場(愛知県豊田市)と田原工場(同県田原市)の2工場。高岡工場(豊田市)や、生産委託先のトヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)、日野自動車の羽村工場(東京都羽村市)の3工場は、一部の生産ラインが停止。

停止期間は、羽村工場が最短の今月6日までで、最長は宮田工場の同15日までの計画。この間、従業員に有給休暇の取得を勧めるほか、出勤する従業員には、生産性向上に向けた業務改善の取り組みに当たってもらう。

堤工場では3日午前6時前から続々と出勤。男性期間従業員は「なるようにしかならない」と嘆いた。男性社員からは「今後も工場が非稼働になるかもしれず心配だ」と不安の声も聞かれた。

部品メーカーのトヨタ紡織も、トヨタに合わせて自動車用シートや内装品を手掛ける工場の一部ラインについて3日からの稼働を停止した。自動車産業の裾野は広いだけに影響が拡大する恐れがある。(共同)