AGVは、作業者が運転操作を行わなくても自動で走行する搬送用車両で、原材料や部品、完成品の運搬に用いられる。人手不足が深刻化している工場や物流倉庫では、作業の自動化により省人化・効率化を図ろうとしており、その実現のためAGVの導入が進んでいる。
一般的に、AGVは床面に貼られた磁気テープやマーカーなどに沿って自動で走行・停止する。長時間安定的に稼働するには“バッテリー切れ”を防ぐ必要があり、充電が重要な役割を果たす。
従来、AGVの充電には、主に有線充電器と接触自動充電器が使われてきた。
有線充電器の場合、いったんAGV本体からバッテリーを取り外し、外部に設置された充電器に接続して充電を行う。産業用バッテリーは数十kgと重いため、作業者の身体への負荷が大きく、作業中の落下によるけがや感電といったリスクもある。AGVで搬送作業を無人化しても、充電作業に人手を介していたのでは省力化や効率化につながらないことも問題だ。
その点、接触式自動充電器は、AGVを室内の充電ステーションまで自律移動させ、接触式の端子を使って自動的に充電を行うので、充電作業も無人化できる。しかし、接触する端子部分が劣化することから、定期的なメンテナンスが必要。端子が接触する際のスパークにより、火災が発生する恐れもある。
これに対し、ワイヤレス給電はケーブルや金属接点と接触せずに無線で給電を行うので、人手が不要であり、事故や火災のリスクも少ない。
また、従来の充電方法では、夜間に充電を行うケースが多かった。搬送作業に影響を与えないためだ。
しかし昨今、24時間365日稼働する工場や物流倉庫が増えている。ワイヤレス給電は、工場の組み立て工程や物流倉庫のピッキング工程など、AGVが一時停止する場所にスペースを設け、停止中に“継ぎ足し充電”することで、作業と並行して充電を行える。結果的に、作業時間の拡大や作業の効率化に貢献することが可能だ。
こうしたなか、各社からAGV向けのワイヤレス給電システムが登場している。それぞれどのような特徴があるのか。
月刊テレコミュニケーション2020年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)
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May 15, 2020 at 04:01AM
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