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製材工場で地材地消、若手が明日の林業を支える。当麻町森林組合 くらしごと - kurashigoto.hokkaido.jp

製材工場で地材地消、若手が明日の林業を支える。当麻町森林組合

当麻町森林組合は、新卒の職員を毎年採用して人員を増やし、道内でも最も活気づいている森林組合の一つです。
その理由は、森林整備に加え大型の機械が入った製材工場を自前で運営し、組合で伐採した木材だけでなく周辺地域からも受注して安定的に加工しているから。
そんな当麻町森林組合の、製材工場と事務所を訪ねてみました。

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最新鋭の機械がある工場で、若手が活躍

工場を訪ねると、たくさんの若い職員がそれぞれの持ち場で汗を流していました。ここの機械はフランス製で、直径60センチまでの大径木(大きな直径の木)を取り扱えます。ラインには次々に木材が流れ、大元となる機械の操縦席には、飛行機のコックピットのように中心に座席があり、周りにモニターやボタンが並んでいます。操作をすると、目の前にある丸太にレーザー光線が当たり、的確なサイズにカットしていくようになっています。ここで働く人にとって、この操縦席に座ることが憧れの的になっているそうです。

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工場で製材した木材は、梱包材やパレット材は本州に出荷し、集成材は町役場や公民館などの公共施設、公営住宅などにも町産材を積極的に利用しています。また、町産材で家を建てると補助金が出るなど、積極的に活用。当麻町では山林育成によって生まれた木材を地材地消で循環させています。

林業の町としての発展を見越して

まずはこの森林組合の成り立ちと概要についてを、加工販売課の高沢博課長と、近藤裕亮課長補佐に聞きました。
「当麻町森林組合の製材工場が開設したのは、組合が発足して6年後の1947年のことでした。当初は小規模、小丸太を扱っていましたが、今後の発展を見越して2014年にフランス製の大型の機械を導入して大径木を扱える工場に生まれ変わりました」と高沢さん。

toumashinrinkumiai25.JPGもともとは森林整備課で山の中にも入っていったという高沢さん。

林業の町として、町の子どもの木育も積極的に実施。障がい者の通所施設、社会福祉法人当麻かたるべの森が運営する木工所「くるみなの木遊館」と連携し、町の生涯学習フェスティバルなどで木のおもちゃ作りなどを実施しています。学校では小学3年生が毎年製材工場を見学しているほか、6年生になると自分で机を作り、中学校に上がったらその机を3年間使います。「自分で作って3年間使った机は思い出が詰まっていて愛着があると、好評なんですよ」と近藤さんが教えてくれました。

toumashinrinkumiai24.JPGずっと加工販売課にいるという近藤さん。以前は工場で作業もしていました。

安定して採用できるよう、働く環境も整備

森林組合の職員は総勢46人。主に森林の現場で造林や伐採を行う森林整備課、工場で加工を行う加工販売課に分かれ、毎年コンスタントに新卒の職員を採用しています。どこでも人材確保に悩んでいる中、どうしたらそんなに若手を採用できるのでしょうか?
「旭川農業高校に林業を学ぶ森林科学科があるからです。もともと林業に興味があって実習や資格取得などもできるので、インターンシップや説明会を行うと、働きたいという学生が出てくるので、採用には困らないんです」と高沢さん。実は、高沢さんと近藤さんもこの学校の卒業生だそう。

toumashinrinkumiai4.JPG製材工場の中は広く、若いスタッフがたくさん働いています。山の現場にも若い人が多いのだとか。

2013年に待遇の見直しも図られたことも、スムーズに採用ができるようになった要因です。それまでは作業員は日給制で、採用活動もうまくいかない時期が続きました。そこで、給与体系を月給制で一本化し、賞与や休日などの条件もそろえました。「森林の作業は冬は受注が少なくなるため、周囲からは『全員正規職員にして大丈夫なのか』と言われましたが、冬も薪の生産や森林の調査などの仕事を作って収益を確保する体制を作り、通年での採用を実現しました」と近藤さん。

林業科を卒業して、地元の林業を支える仕事に

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2019年に採用された長野稀斗さんも、旭川農業高校林業科の卒業生から採用された一人です。素直で真面目そうな、今どきの青年という感じの長野さん。小学生のころにボーイスカウトに入って山の中でキャンプをしたり遊んだ経験から、「将来は自然の中で働きたいな」と考えるようになり、林業科のある高校に入学して、チェーンソーや刈払機の扱いも練習しました。しかし、高校卒業後は2年間、自衛隊に入隊。山の中での演習もありましたが、やはり憧れていた林業に関わりたいと思い、森林組合で友人や先輩も働いていたことから、転職を決めたそうです。

入職後は加工販売課に配属され、工場で製材の作業をしています。
「工場は若い人が多いので、気軽に相談もしやすいです。常に刃物を扱うので、一歩間違えると命の危険もあります。作業手順を守って安全に気を配りながら作業をしています。注文が入った作業を一通りやり遂げた時は、すごく達成感がありますね」。

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ライン上で作業をしているので、作業が止まると他の機械も止めなければなりません。なので、忙しい時などはプレッシャーもあるといいます。
「以前、作業がピークの時に僕の担当する機械が壊れてラインが止まってしまったことがありました。先輩に聞きながら直して復旧しましたが、あの時は汗がダラダラ流れて止まりませんでしたね」と、緊迫感のある体験を話してくれました。
入職時の挨拶の際は、職員みんなの前で「経験を積んで係長や課長になって、みんなを引っ張っていく職員になりたいです」と宣言したという、頼もしい若手職員です。

先輩から学びながら、力をつけています

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長野さんと同期入社で、森林整備課で事務を担当する奥山優生さんにも話を聞きました。商業高校出身で、当初は経理事務の仕事を希望して応募しましたが、入職したら森林整備課に配属されたとか。
森林整備課の事務は、森林の皆伐(木を全て伐採すること)や植え付けをどのように行うか、作業期間や人員などの計画を立てたり、国に提出する補助金申請に関する書類を作成したりします。

白い肌が印象的な奥山さんですが、パソコンの前で仕事をするだけでなく、現場に出ることもあるそう。作業現場の写真を撮影したり、誤伐がないように木に印をつけたりという仕事もあり、長い時は一日中現場にいる時もあるとか。
現場は危険を伴う作業のため緊張感がありつつも、「現場の雰囲気は明るく、作業をする先輩たちもいつも優しく迎えてくれます」と奥山さん。

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もともとインドア派という奥山さんは、「家族や友人からは、私が森林の現場で働くなんて!と驚かれるんです」と言って笑います。
今は仕事を覚えようと必死で、年の近い女性の先輩に相談しながらメキメキと力をつけているところです。社外での林業のセミナーや勉強会にも参加するなど意欲的です。

町の森林と経済の持続的な発展のために

当麻町の林業の今後についても高沢さんと近藤さんに聞きました。
「50年前に植えられたカラマツが利用期を迎えています。伐採した後に確実に造林して利益を生む森林を作っていき、確実に体力をつけていきたいと考えています」と高沢さん。
森林組合の長期ビジョンとして、50年先を見据えた山づくり計画を綿密に立てています。毎年何haの木を伐採し、何本植えて、どのくらいの木材が出荷できるか。そのために何人職員を採用するか。今後は少しずつ職員も増員していく考えです。
新型コロナウイルスの影響で輸出が減るなど、計画通りいかない部分もありながら、当麻の森林と地域の経済の持続的な発展のために、前を向いて進んでいます。

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今では管理職として計画や指導に当たるお二人ですが、高沢さんは以前は森林整備課で事業の設計や現場管理等でバリバリの作業員として活躍していました。「ハチには何度も刺されていますよ」と言いながら、山にも半袖で入っていくワイルドな一面も。
「森林整備をやっていたころは、一般の所有者の森林の造林を提案し、承諾を得て思い通りの山を作り、間伐材が売れて利益が出ると『ありがとう』と感謝されます。その時のうれしさが一番のやりがいでした」。

一方、実は虫が苦手という近藤さんは、工場で活躍していました。
「林業科で学んだことを生かせると思い、森林組合に入りました。工場の機械にも興味がありましたし、伐採に使うハーベスターも扱ってみたいと思っていました。作業上、うまくいかない部分が出てくるとパソコン上で工程を工夫し、やりやすい方法を見つけていくのが楽しかったですね」。

そんなお二人、若手職員の姿を見る時はお兄さんのように目を細め、成長を喜んでいる様子が印象的でした。
若い人材の育成を手がけ、社内の体制や待遇なども見直し『働きやすさ』を意識して取り組んできた当麻町森林組合。
若い先輩がいるから後輩達も入社しやすい、そんな好循環しているこの森林組合の未来がますます楽しみです。

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当麻町森林組合
当麻町森林組合
住所

北海道上川郡当麻町4条東3丁目4番63号

電話

0166-84-2311

URL

http://business4.plala.or.jp/sinrin/

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October 12, 2020 at 07:30AM
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