ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表強化試合、阪神戦が6日、京セラドーム大阪で行われ、侍ジャパンは大谷翔平(エンゼルス)の2本の本塁打などで8-1で快勝した。7日のオリックスとの最後の強化試合を経て9日の開幕戦に臨む。チームの仕上がり状態について、2006年の第1回WBCで投手コーチを務めた鹿取義隆さんが解説する。まずは野手編から。
大谷の1本目の本塁打は、低めのボールだが、真ん中に落ちるあのコースに対応できるあたり、メジャーで結果を残せる選手ということだ。フォロースルーで体勢が崩れて左ひざをついたが、片手一本でスタンドまでもっていった。ああいう打ち方はなかなかできないし、投手としても失投ではない。「あのボールを打つんだ」ということであきらめるしかない。
2本目は、打球音も詰まってはいたが、高めだったので、打者に力があれば押し込んでいけるコースになってしまった。センターの近本光司が追わなかったから、フェンス直撃かと思ったけれどフェンスを越えていったので驚いた。
京セラドーム大阪は、バンテリンドームナゴヤと並んで本塁打が出にくく、バッターにとっては難しい球場だと思うが、1本目はあの打ち方で、2本目はあの詰まった当たりで、ともにホームラン。ありえない、驚きの2発だった。
新戦力のラーズ・ヌートバー(カージナルス)が2安打でさっそく結果を出した。アメリカでもレギュラーで1番を打っていたし、ジャパンでも自分の打順をしっかり理解している。この日も強引に行かずに、シュアな打撃できちんとセンター前に打てるテクニックを披露した。1本目のヒットはバットの先だったけれど、振りに行っても気持ちはセンターに向かっていた。対応力のあるバッターで、期待ができる。
吉田正尚(米レッドソックス)もタイムリーを打ち、メジャー3選手で全8得点。打つことに関してはこんなにレベルが違うのかとさえ思ったが、国内組の中で、光ったのは近藤健介(ソフトバンク)だ。3番・大谷の前の2番の打順で、三回も五回も、ともに二死から四球を選んで大谷の2発を呼び込んだ。特に五回は大谷の後、村上宗隆(ヤクルト)の内野安打、吉田のタイムリーと3連打で、試合の流れを決定づける4点のビッグイニングにつながっただけに、価値のある四球だった。
近藤は出塁率や選球眼にもともと優れた選手だが、メジャーの選手で埋まった外野陣では使い勝手が難しく、もったいないと思っていた。だが、鈴木誠也(カブス)の辞退で状況が変わり、強化試合でも結果を出してきた。外野は吉田、ヌートバー、近藤で収まりがついた。
6日の阪神戦に臨んだ日本のスターティングメンバーは、いままでの強化試合の結果も踏まえて「本番モード」により近い形になったのではないか。絶対に外せないのは、ヌートバー、近藤、大谷、村上、吉田の1~5番まで。山田哲人(ヤクルト)はちょっと不安だが、それほど深刻な状態にも見えず、もともと試合を重ねて状態が上がっていくタイプだ。前日まで良かった岡本和真(巨人)と、調子が上がらない山川穂高(西武)の見極めもある。岡本、山川、牧秀悟(DeNA)、山田のところで、一塁と二塁のポジションをどうするか。ここは7日の最後の強化試合次第ということになる。
「不動の4番」村上もまだまだ本調子ではないが、3日、4日の中日、そして6日の阪神の投手はみな、いい球を投げていた。WBC初戦の中国の投手はこれより落ちるから、「打てない」と悩んで力むことさえなければ、本番では大丈夫だと思う。
中野拓夢(阪神)、周東佑京(ソフトバンク)、牧原大成(ソフトバンク)は足も使えるので、勝負どころの貴重なコマとして期待できる。捕手はバッテリーを組む投手との相性があり、打順からみても代打を出しやすいところでもあるので、今回のジャパンでは状況に応じて使い分けるという起用法になるのではないかとみている。
(取材・構成、編集委員 千葉直樹)
(投手編は7日の試合後に公開予定です)
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