今春の商用サービス開始を間近に控え、NTTドコモ 法人ビジネス本部 ソリューションサービス部 統括SE 担当部長の松尾浩一氏はこう話す。
昨年末に免許申請受付が始まったローカル5Gについても同様だ。「ローカル5Gの引き合いは、さばききれないほど来ている。印象的には、引き合いの4割ほどが製造業」と語るのは、NEC 新事業推進本部 部長の新井智也氏だ。
5Gの産業用ユースケースのなかでも、製造業はもともと“大本命”と目されてきた。世界中で工場のIoT化/スマート化が進むなか、5Gがそれを加速させるキー技術の1つになることは間違いない。
NECの新井氏は「工場ネットワークの無線化に対する潜在的なニーズは大きい。ローカル5Gならば、Wi-Fiでは安定性や安全性が不足していて適用できなかった用途の無線化も実現できるのではないかと期待されている」と話す。
見えてきたURLLCの限界ただし、5Gだからといって“なんでもできる”わけではない。
工場内には様々なネットワークが存在するが、「何でも無線にすればいいわけでもない」と指摘するのは、他ならぬドコモの松尾氏だ。5Gのユースケース開拓を進めるなかで、「製造業で求められる信頼性にどこまで応えられるかというと、まだまだ課題があることがわかってきた。様々な用途の工場ネットワークがあり、どの部分を無線化、5G化するのか、しっかり議論しながら進めることが重要」と強調する。
特に、産業用途において5Gの最大の売りとも言える超低遅延・高信頼通信(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)にも“限界”があることは、正確に理解しておく必要がある。
改めて5G URLLCの要件を確認しておくと、標準化団体である3GPPおよびITU-Rは「32バイト以上のパケットデータ量の99.999%以上の送信成功率」と「無線区間1ミリ秒(ms)以下の遅延」を同時に満たすことと定めている。実際に工場内アプリケーションで使う際には、さらに無線区間以外の通信遅延とアプリ処理の遅延がプラスされる。
月刊テレコミュニケーション2020年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)
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March 06, 2020 at 04:15AM
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