イーロン・マスク氏が急速に成長する電気自動車(EV)ビジネスを支配しているにもかかわらず、米テスラは同氏が当初理想の市場と信じた日本で勢いを得ようともがいている。
2010年6月にテスラが上場した翌日、同社のスポーツカー「ロードスター」がアジアで最初に出荷されたのは上海ではなく 横浜だった。その4年後、マスク氏は東京・六本木ヒルズ森タワーの52階で開かれた豪華な式典で同社の最初のセダン「モデルS」を顧客に引き渡した。
その両方の場でマスク氏はいつものように高いハードルを設けた。同氏は日本を「ロードスター」にとってうってつけの市場と呼び、「モデルS」の 式典では、日本がテスラにとって世界で最も重要な市場の一つになるのを楽しみにしていると宣言した。
しかしマスク氏が予測した販売の成功については捉えどころがない。テスラは日本での出荷台数を明らかにしておらず、 日本自動車輸入組合に自社の販売台数を発表しないよう要請している唯一の企業だ。
センシティブな問題だとして匿名を条件に語った関係者が示した大まかな数字はこうだ。昨年、日本が輸入したEVのうち、おおよそ90%がテスラ車だった。しかしこれは合計販売台数がわずか1378台という小さなセグメント内でそびえ立つシェアだ。
世界3位の自動車市場でのテスラの失敗は投資家には大した問題にはなっていない。マスク氏は昨年、世界出荷台数を50%伸ばし、日本の助けなしに乗り越えた。しかしテスラが20年に50万台を「楽々と」出荷するというマスク氏の予想達成にはもう少し助けがいるかもしれない。テスラにコメントを求めたが、回答は得られていない。
テスラの昨年の米国での売り上げは14年以来初めて減少し、前年から15%減った。同社はクロスオーバー「モデルY」でラインアップを拡大することで米国や他の国で売り上げを伸ばす計画だ。同社はまた価格引き下げや需要の刺激にもつながる中国生産を開始している。
日出ずる国で暗闇を経験しているのはテスラだけではない。米国の自動車産業は日本を閉鎖市場だとして何十年も非難してきた。だが、それは少し誤った言い方だ。日本の自動車関税はゼロなのに対し、米国は自動車に2.5%、トラックに25%の関税を課している。
テスラ車の販売低迷の要因としてより重要なのは、ブランド認知度が極端に低いことや日本の消費者が慣れている丁寧な対応の欠如といった点だ。
18歳以上の約1000人を対象に日経リサーチが昨年3月に実施した 調査によると、テスラの企業ブランドの認知度は51%だった。一方、EV「リーフ」を手掛ける日産自動車は98%だった。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは「テスラは確立されたブランド・アイデンティティーを日本で持っていない。テスラの車はむしろ玩具と見なされている」と語った。
原題:
Tesla Barely Registers in the World’s Third-Largest Auto Market(抜粋)
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March 03, 2020 at 06:47AM
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テスラ、世界3位の自動車市場の日本で販売低空飛行にもがく - ブルームバーグ
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