
―2人の進路が発表され、選手権まであと少し。心境を教えて下さい。
大迫「(新天地の大阪へ向かうため)あと少しで家を出るというのが寂しいです。18年間、家にいたので考えられないです」
福田「友達と離れるのが嫌だし、(ドイツに行って)日本語が喋れなくなるのが一番嫌です」
―それぞれ大阪、ドイツへ旅立つ。
大迫「楽しみです。早く行きたいです。早くセレッソでサッカーをしたいという気持ちです」
福田「早く結果残して、トップチームでデビューして、点決めて活躍したいですね」
―高校生活最後の戦いが目の前に迫っている。
大迫「3年生の選手権を目指して6年間ずっと準備してきたので、本当に最後出し切って、楽しんでやりたいなという気持ちです」
福田「しっかりラストなんで、結果残して、優勝して、笑って終われたらなと思っています」
―過去2年の選手権は?
大迫「自分の思い描いた選手権ではないです。結果も出ないし、チームとしての結果も思ったものと違ったので。でも、これが高校サッカーなんだなと感じた2大会でした」
福田「自分の得点不足で負けたという試合だったので、もっと練習が必要なんだなと思いました」
―選手権に良い思い出はほとんどない。その悔しさを晴らすための準備をしてきた。
大迫「今年に入って上手くいかなかった時期が長かったですけれども、夏以降、チームとしても少しずつ結果も出てきたし、個人としてもやるべきこととか凄くできるようになってきたので、この夏以降の成長というのは凄く素晴らしいものがあります」
福田「自分は逆に今年怪我が多かったので、全然コンディションを整えることができず、ベストなコンディションで試合をしたことがなかったので、最後はしっかり、怪我なく自分のプレーができたらなと思います」
―神村学園の6年間を振り返ると?
大迫「今思えば、めちゃ早かったなという感じです」
―辛いこともあった?
大迫「いや、でも楽しかったです。学校生活もずっと一緒なので。遊ぶ時もそうだし、サッカーする時もそうだし、神村以外の記憶が今、あんまないくらいの感じですね」
―福田君は?
福田「自分も楽しかったですし、辛かったこともありましたね」
―どういうところが?
福田「怪我です。怪我だったり、勉強面だったり。自分、勉強は嫌いじゃないですけれども、結果がついて来ないです(苦笑)」
―期待されてきたけれど、日本一を取れた訳では無い。もがきながらの6年でもあった。
大迫「そうですね。『日本一って本当に取れるのかな』って思うような、ずっとなんですけれども。(ただし、)このチームだったら日本一行けるんじゃないかな、と初めてくらい芽生えた感じです」
―2人が初めて会ったのは?
大迫「小学4年生です」
―初めて会った時の印象は?
福田「(大迫は)上手かったです。声高くて、上手くて。次元、違いました」
―声が高い。
福田「声もめっちゃ高かったです。高い声で指示を出していたので、最初は女の子なのかな、って」
―次元が違うというのはどんな感じ?
福田「左足のキックが一人だけめっちゃ飛ぶんですよ。精度も良いし、上手かったです」
―ショックを受けた。
福田「凄いな、と」
―最初は目標だった。
福田「目標というか、塁と一緒に試合すると見られるじゃないですか。だから、頑張ろうと」
―大迫君を見る関係者の前でアピールしてやろうと。
福田「はい」
―福田君は大迫君の存在をチャンスにしていたそうだけど。
大迫「そうやって、色々な選手が見てもらえる環境というのが神村学園にはあるので。だからこそ、(名和田)我空とか(鈴木)悠仁だったりとか日本を代表する選手というのがたくさん出ているのは凄く嬉しいことです」
―福田君の第1印象は覚えている?
大迫「覚えていますよ。ほんと、こんな感じでおちゃらけた(微笑)。県のトレセンの中でも一番に色々なことをするような選手でしたね。先頭に立って『やろうよ』、というような選手でした」
―今はどうかな?
大迫「だいぶ落ち着いたので。大変なことも多かったですけれども、ピッチ外で怒ることもなく……」
―大迫君が怒ることも?
大迫「いや、ほんともううるさいんで。授業中うるさいですし、どこそこ行くんで。『ちゃんと座れよ』みたいに」
福田「(すぐ)友達と話しちゃいます」
大迫「今は、もう全然ないです。授業を聞いている。あとは、結果が出てくれば……」
―今のプレーヤーとしての姿はどう映っている?
大迫「中学校の時とかは2列目をすることが彼自身多かったですけれども、今はもうストライカーとして本当に点数のところもそうだし、守備のところもそうだし、凄いチームにとって模範となるようなプレーヤーになってくれているので、自分からしても凄くやりやすいし、頼もしいストライカーだと思います」
―彼の場合は、猛練習で身につけた力。
大迫「師王が成長することで、このチームも成長すると思っていて、そのトレーニングの姿勢とか意欲っていうのが高校に上がってから凄く向上していて、そういったことで周りの選手の気持ちも上がるし、自分にとってもパスの出しがいとか『もっと良いボールを出してあげないと』という気持ちになります」
―福田君にとって大迫塁というサッカー選手は?
福田「まずピッチ外では、リーダーシップだったり、チームを全てまとめてくれるんで本当に凄いなと思います。ピッチ内ではずっと変わらず凄い存在で『神様みたいです』。自分が評価されてきたのはやっぱり塁のパスで点決めてきたお陰なので、もっと自分が良い動き出しをしてたくさん点を決めれば負けることはないんで、塁のパスで決めるという癖をつけたいですね」
―大迫君のパスをもっと決めたいという気持ちも成長の後押しに。
福田「なっていると思います」
―自慢のコンビ。
大迫「神村の得点パターンとして2人のコンビネーションが一番だと思うので、それは全国で見てもそうだし、この2人で完結する得点というのが今、レベルの高いものになってきていると思うので、それを全国で出していきたい」
―色々なホットラインがあるけど自分たちが一番。
2人「はい。思っていますね」
―大迫君は他のパサーと何が違う?
福田「見ているところが違います。(欲しいところに)来る感じがあります」
―実はこんなやつだ、ということがあれば。
大迫「(福田は)後輩がめっちゃ好きです。後輩とよく一緒にいますね」
福田「(後輩)可愛いというか、普通に気が合うというか」
―1、2年生にとって、大迫キャプテンは少し怖いところもあるのかな?
大迫「そうですね。怒らないといけない立場でもあるので。でも仲良いと思いますね」
福田「仲良いですね」
―それぞれ、今後の自分の目標、相棒に期待することを教えて下さい。
大迫「自分はセレッソ大阪というクラブをJリーグで日本一にしてから次の舞台に行きたいと思っているので、まずは個人として少しでも、1試合でも早くJのピッチに立って、セレッソ大阪というクラブの中心になって、日本一を取って、海外に行きたいと思います。師王はどこへ行ってもやれると思うし、そういうキャラクター性もあるので、そんなに心配していない」
―彼はドイツに行くけれど心配していない?
大迫「そうですね。逆に海外くらいがちょうど良いのかなって感じなので(微笑)。厳しい世界なので、色々な人に相談しながら頑張って欲しいと思います」
―福田君も期待に応える。
福田「自分は少しでも早く結果を残して、トップチームデビューして、あっちで得点王というのを狙っているので、1日1日無駄なく過ごしていきたいし、言葉の勉強だったりもキチンとしていきたいです」
―ドイツ語で一言。
福田「ダンケ(ありがとう)」
―大迫君に期待することは?
福田「塁は活躍できると思うので、そこはもう心配ないですね。塁のいつものプレーをすれば優勝できるし、本当に活躍できると思うので、またいつか同じチームで、日本代表だったり、そういう中でプレーできたらなと思っています」
―選手権への意気込み、またサポーターにどのような姿を見てもらいたいですか?
大迫「高校生活最後の選手権なので、この仲間と最高のプレーをして、日本一ということしか考えられないので、最後もっと突き詰める部分もそうだし、もっと後輩たちに残せるものがあるので、残しながら最後日本一というものを取れるように頑張りたいです」
―セレッソサポーターや高校サッカーファンに向けて。
大迫「本当に『彼なら開幕から行けるんじゃないか』というプレーも見せたいし、実際そのくらいのプレーをしないとJ1の選手としてダメなので、『来年からセレッソ頼んだぞ』と思ってもらえるような、選手になりたいです」
―大迫君のプレーって、ずっと見ていないと良さを気づかれない。
大迫「そうですね。何かこう、『チームにいてくれたら助かるな』というプレーヤーになりたいので、チームが苦しい時に結果残すのもそうだし、80分、90分通して走り続けてボールに係わったりとか、というのが自分の一番の見どころだと思うので、そういうところを見て欲しいです」
―福田君の選手権への意気込みは?
福田「ラストなので、自分がたくさん点を決めて、そうしたらチームが負けることはないので、自分が得点王になりつつ、相手よりも1点多く決めて勝つことです。そして日本一になりたいです」
―ファンに向けて。
福田「得点パターンの多さや、どんなところからでも打てるんで、そういうところを見て頂けたら」
―動き出しは少年たちにも是非見て欲しいところ。
福田「動き出しの回数を増やして、『違う動きするな』と思われたいですね」
―最後に家族へ向けて。
大迫「18年間、ずっと自分の一番のサポーターとして家族はサポートしてくれていたので、家を離れるのは寂しいですけれども、最後、鹿児島の神村学園というチームを日本一にするというのが家族の目標でもあるので、最後に優勝して恩返ししてからセレッソに行きたいと思っています」
福田「自分は今までたくさん迷惑を掛けてきたので、選手権で楽しんでいる姿や、自分がチームを勝たせている姿を見たいと思うので、たくさん点を決めます」
(取材・文 吉田太郎)
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