●山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)
「ナショナルチームダイレクターということで、サムライブルーからU-15までを統括する立場となりました。よろしくお願いします。こういう仕事なので、スタッフ、選手、みなさんが最大限力を発揮できるよう調整していくのが仕事。メンバーはお手元に届いていると思うが、カタールW杯後初の試合ということで新しいスタッフ、メンバーが入っている。私自身もすごく期待しているし、楽しみな試合で、どう成長していくか見守っていきたい。2026年のW杯に向けて最初の一歩となるので、みなさんと一緒に成長していきたい」
●森保一監督
「まずはわれわれの代表活動において、日頃から応援してくださっているサポーターの皆さん、国民の皆さんに感謝申し上げたい。いつもありがとうございます。2026年のW杯に向けて新たなチームづくりということで、今回、素晴らしい対戦相手と試合ができ、新たな船出となる活動をさせていただくことを非常に嬉しく思っている。2026年に向けてチーム力を上げていく、成長を考えながらこれまで通り、目の前の一戦に勝利を目指す、その一戦から積み上げていった先にアジア予選の突破、W杯の成功があるということを忘れず、今回もまずはウルグアイ戦に向けて最善の準備とベストを尽くして戦うということを一戦一戦次の目標に向けて、W杯に向けて積み上げをしていきたい」
―W杯メンバーが16人、フレッシュな面々も呼ばれているが、選考にあたって最も重きを置いた点は。同じ時期に活動のあるパリ五輪世代からも数名呼ばれているが、その意図は。
「今回戦う上で、そしてわれわれが積み上げをしていく上で、今後に向かっていく上でのベストなメンバーを選んだ。その中に答えは2つとも入っていて、パリ五輪世代の選手も入っているが、パリ五輪日本代表としての戦いも非常に大事だが、五輪世代の代表を目指すのではなく、A代表を目指してほしいし、まずはそこで経験をしてもらい、戦力になるために成長してもらったうえでA代表でも戦える、五輪でも戦える力を付けてもらうことが所属チームのためにも日本代表のためになるのかなと思う」」
―W杯メンバーでこれまで長く代表を支えてきた吉田麻也、長友佑都、酒井宏樹らが外れている。その理由は。
「いま名前を言われた麻也、佑都、宏樹は長く日本代表を支えてくれて、日本のために戦ってくれて、彼らの存在の大きさは私自身も監督として非常に大きな存在感を感じていた。彼らにチームづくりでも支えてもらっているところが大きかった。これからのチームづくりにおいて、彼らがやってくれるということは計算できるところが大きいし、彼らがいなくなった時にどれだけ日本の力としてつけていけるかということを、これからに向けて培っていかないといけない。まずはこれまでのチームづくりに貢献してくれたことに感謝しているし、今回も選ばれてもおかしくない活躍をJリーグでもブンデスリーガでも見せてくれている。より幅広く選手層を厚くして、強くして、最強の日本代表を将来的に作っていけるようにということを考えている。今回、チャンスをもらった選手たちにはここで存在感を見せてほしいし、経験の浅い選手は短い中でも成長してくれるので、この経験が彼らの成長につながるように、成長につなげてもらえるように考えてほしい。また競争力という意味ではどの段階かわからないが、経験の浅い選手、若い選手にチャンスを与えながら成長してもらえればと思うし、ベテランと若手の競争力をどうチーム力に活かしていくかは活動しながら考えていきたい。融合は必ず必要だと思っている」
―監督の中でのベストとは伸び代も含むのか。また4年前は代表引退を表明した選手以外は一度呼んでいくと話していたが、今回はそういったことを考えているか。
「ベストなメンバーという意味では今回の活動でベストというのを、どの選手がベストということではなく、毎回ベストなチーム編成でベストな活動を積み上げていくということでご理解いただければ。選手の招集に関しては、ロシアW杯から代表引退を表明していない選手は、一度は招集して、代表活動の場で力を見せてもらうところをやってきたことを言われていたが、そこはまた活動を通してどうしたらいいかを考えていきたい。どちらとも言えない。状況を見ながら、ベストというのが多いが、ベストな選択をそのつどして行く、将来に向けてその時のベストな活動をできるようにしていきたいと思う」
―4人の初招集選手がいるが、監督から見た彼らの特徴は。
「それぞれチームで存在感を発揮している選手だと思うし、スペシャルな特徴を持っている選手たちだと思う。角田涼太朗に関しては左利きでCBも、左SBもできると思っているし、攻撃力もあって後方からのビルドアップ、数的優位を作り出すことのできる選手。守備力がこの国際レベルでどれくらいできるかなということ。もちろん攻撃もそうだけど、また彼の良さを見ていきたいし、この経験でまた成長していってほしいと思っている。バングーナガンデ佳史扶は彼も左利きで、FC東京でレギュラーとして左SBで存在感を放っているというところで、彼の攻撃の部分で非常にいい本人の特長を持って攻撃に参加できるところであったり、セットプレーのキッカーとしてもいいボールを配球できるところの良さがある。守備の部分においては同じFC東京の長友選手と比べるとまだまだ足りないところはあるが、国際試合で必要な強度を培ってもらえれば、間違いなく日本の戦力となり、A代表、五輪、FC東京のさらなる戦力アップにつながると思うので期待したい。半田陸は以前から注目していた。森山ジャパンでもアンダー世代で常に招集されていて、中心選手として経験を積んでいる。その中で注目して見てきている中、確実に山形、G大阪への移籍で力をつけてきている選手だと思う。いい守備からいい攻撃につなげていくというわれわれがW杯で勝っていくためにやらなければいけない、守備で強度を発揮できて、攻撃につなげられる選手だと思っている。中村敬斗はオーストリアで活躍しているのでご存じだと思うが、得点という結果と左ウインガーとして、チーム内でもそしてヨーロッパの舞台でも存在感を放っている選手だと思う。私が東京五輪世代のチームの監督をさせてもらっていた時、アンダー世代でも招集させてもらってきた中で、彼の成長も追ってきていたが、プロという世界、代表という舞台でも戦える力をつけてきている選手だと思う。左サイドから得点につながるプレーを期待している」
―(山本NDに)この二つのチームをどのような考えて五輪まで運営していくか。
山本「A代表と五輪が中心に担当となるが、JFAの監督会議は定期的に開いている。A代表からU-15の監督が集まってコミュニケーションは十分に取れている。五輪とA代表の活動では大岩(剛)監督と森保監督で本当に頻繁にコミュニケーションを取って、選手の成長、個の昇格を優先するところをしっかり考えてやってくれている。その中で必要に応じて選手が伸びていく形がベター。そこはコミュニケーションで、私がサポートできることをはサポートして、より良い調整をして日本の未来のためにサポートしたい。
―今回の活動で一番最初に植え付けたいコンセプトは。
「コンセプトに関してはまず私がカタールW杯まで監督をさせていただいた中、やってきたことをW杯という舞台で経験をさせてもらって、必要なことを選手たちに伝えて実践してもらいたい。W杯での経験で言えば、ロシアからカタールの4年間で培ってきたことを全てレベルアップしないといけないと思っている。選手個々の力にしても、チームの攻撃・守備の戦術にしても全て上げないといけないが、W杯で勝つ基準、世界のトップ基準でやっていくためには強度の高いプレーをすること。いい守備からいい攻撃につなげていくというのをやっていかないといけない。ただし、いい守備からいい攻撃にという部分で、カタールW杯ではカウンターは相手も嫌がるカウンター攻撃をできたと思うが、ボールを握った際にもっと相手が嫌がる攻撃をできればという部分のクオリティを上げていかないといけないと思っている。速攻から遅攻に移る時のプレス回避、どうやってプレーをするかというところは今回コーチ陣とも話ながら落とし込んでいこうとすでに計画をしている。守備に関してはカタールW杯では攻から守に切り替わった時にいい守備ができた、即時回収というところ。カウンタープレスというところはできた部分がある。できるだけ回数と時間を多くしたいと思う。ただ前線からボールを失った瞬間に即座に奪うだけでなく、カタールW杯でも前から行く時と、しっかり相手の攻撃を受けながら粘り強く守備をするというところもW杯で勝っていくために日本の良さとして、相手が嫌がる日本の粘り強い守備も必要だと思うので、ブロックを作って粘り強く守備をするところ、高い位置から攻守が切り替わった瞬間から相手のボールを奪う守備を使い分けられるようにウルグアイ戦、コロンビア戦で少しでもできればと思う。
―キャプテンをどのようなコンセプトで決めるか。
「いろいろと考えているが、すぐ決めなくてもいいかなと考えている。どうしていくかはわからないが、一人に最初から決めるより、活動を通しながら決めていくということをしたい。昨日コーチ陣とも話し合ったが、結論は出ず。活動ごとにキャプテンを指名するのか、何もしないか、いろいろ話したが何も決まっていない。ただ大切なことは今回のカタールW杯で吉田麻也キャプテンがチーム作りにおいて選手とスタッフの間に立って、選手の意見を集約して、スタッフにいろんなことを伝えてくれて、選手間の意思共有も非常によくやってくれた。誰か一人というのを決めるのもスムーズにいくかもしれないが、もっと大切なのは一人一人の選手が自分がキャプテンというくらいの責任感で自分のことをしっかりやる、チームのことを考えて言動できること選手たちにはそれぞれ責任感を持って、自分の良さを発揮するため、チームのため仲間のために何ができるかを言動してもらえればと思う」
―特に悩んだポジションは。
「ポジションについては毎回チーム編成をする時、26人の選手を選ぶというところで候補選手は何倍もいる中で選ぶというところで、全てのポジションで選ぶのは難しい。毎回スタッフミーティングでもどのポジションも長い時間をかけて選手選考をするという部分では、どのポジションが一番難しいというのはないと思っている。ただカタールW杯から長友選手、吉田選手、酒井選手といったこれまで代表を支えてくれた選手の次の選手をどうやってわれわれが作っていくかというところにおいて、候補選手の部分でいろいろ意見が分かれた中、最終的にメンバーを決めたので難しいところはあった」
―W杯でも招集した町野修斗を招集した理由、期待しているポイントは。
「期待しています。彼はカタールW杯でメンバーに選ばれていながら1試合も出場することができず、非常に悔しい思いをしたと思う。ただ悔しい思いをしていた中でもチームのため、日々チームを支えることをしてくれていたと思うし、日々の練習の中でも自分が成長するために頑張ってくれていたところを見ている。Jリーグも開幕して、もっともっと点は取ってほしいが、前線で非常に得点に絡むという部分、自分がフィニッシャーになるところと、チャンスメークをする部分と幅が広がって存在感が大きくなっている。ウルグアイ戦、コロンビア戦でどれくらいチャンスを与えられるかわからないが、彼が成長したところ、カタールW杯で悔しい思いをしたところを今回の代表戦で思い切って発揮してほしい」
―2026年のW杯の目標は。チームのコンセプトを実現するために選手たちにどうなってほしいか。
「2026年のW杯というよりも2050年までに日本サッカー協会がW杯で日本代表が優勝するという宣言をしているので、そこに向けてわれわれはやるべきかなと思っている。世界一というところを目標に、自分たちがいま持っているものをどれだけ上げていけるかを常に考えていかないといけない。現実的に言うと、ベスト16の壁は乗り越えられていないので越えていかければいけないが、W杯でチャンピオンになること、世界一を目標にやっていくことは考えながら、今の力を最大限伸ばしていくこと、上げていくことをやれればと思っている」
―角田涼太朗はポジションを獲得して最も日が浅い選手だと思うが、彼の成長をどう捉えているか。またどのポジションで起用しようと考えているか。
「成長に関しては彼がJリーグで試合に出られるようになって、毎試合自信がついてきている。成長を感じさせてもらえるプレーを見せてもらった。われわれは普段から練習をで選手を見ているわけではなく、どれだけの成長かはチームの一番近くで見ている監督・コーチが一番わかっていると思うが、試合で見る限りではどんどん自信をつけていっていると思う。思い切って大胆にプレーできる攻撃の部分は非常に彼の良さが大きくなっていると思う。起用はCBと左SBを考えて招集させてもらった。ただ練習の中でどれだけ存在感を発揮できるかどうかが試合に出られるかにつながってくるので、角田選手だけではないが、全ての選手に招集されて試合に出られる保証はないというところと、今回も選考外になった選手の中で力のある選手がいっぱいいる中、次の代表活動に選ばれる保証は誰にもない。まずはいま彼が持っている力と、このチームの中で存在感を発揮したいという気持ち、がむしゃらさをぶつけてほしい」
―古橋亨梧、旗手怜央が選ばれなかった理由は。他の選手との比較か、戦術的な理由か。
「セルティックの試合は全て見ているし、彼らのプレーもコーチ陣と私で映像視察もしており、CLも見にいった。彼らのやっていることは見ている。結果を出しているところ。チーム内で存在感が上がっているところも見ている。その中で招集だが、これという絶対的な判断基準は全てあるわけではなく、どこか総合的なところがあるのは理解していただければ。リーグのレベルであったり、置かれている状況はそれぞれ違うところがあったり、本当にいろんなことを考えての招集。カタールW杯から選んで、そこにプラスする選手を加えて代表活動をスタートする中で考えた。この1回だけが代表活動ではないことを理解していただければ。2026年に向けて最強のチームを作るために一回一回ベストな活動をしていく中、ベストな活動が人限定ではないというところ。より幅を広げながらチーム力を上げていく中で、彼らは選ばれていてもチームの戦力としては活躍してくれると思うが、違う選手を見たい、試したいというところで、今回招集外になったところもある。複合的にいろんなことを考えた」
―練習を公開すると聞いているが、森保監督の発案か。チームとしての方針か。
森保「コロナ禍の対応で公開練習ができなかったため。今回もそうだが、試合2日前からはこれまで通り非公開、冒頭15分間メディアの皆さんに見ていただいた中、チームだけでの練習に入る。幕張で公開するというのはこれまでもお願いしていたが、なかなかコロナ禍で感染があってはいけないということでできなかった。より多くのファン・サポーターの方々、メディアの皆さんに見ていただきたいというのはこれまでと変わらずやっていきたい」
山本「2050年までに世界チャンピオンになるという日本サッカー協会のロードマップに沿って、われわれ、選手・スタッフは全力になるのはもちろんだが、ファン・サポーター、メディアと一体になって大きなうねりにしたい。そういう力もないと世界チャンピオンに届かないと実感しているので、ここから切り替えて、そういうところも含めてもっと大きなうねりを作って、世界チャンピオンになる雰囲気作りが重要だと思っている。お集まりの皆さん、テレビを見ている皆さんにもぜひエネルギーをいただけるような雰囲気を作っていきたい」
(取材・文 竹内達也)
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