【ピオリア(米アリゾナ州)23日(日本時間24日)四竈衛】侍ジャパンの最年長としてチームを束ねたパドレスのダルビッシュ有投手(36)が、同地のキャンプ施設でチームに合流し、練習を再開した。今回のWBCでの言動を、同じ09年Vメンバーのイチロー氏(49)が絶賛したことを伝え聞き、「本当に光栄」と感激。開幕へ向けた調整や登板日程は未定だが、パ軍との「ダブル世界一」へ向けて、ベテラン右腕が再スタートを切った。

宮崎合宿以来、1カ月以上に及ぶ侍ジャパンでの生活を終えたダルビッシュは、スッキリした表情で率直な思いを言葉に変えた。前日、決戦の地マイアミから大谷と一緒にチャーター機で同地入り。メジャーとは異なる調整ペースもあり、「正直疲れた部分はあります」と明かす一方で、「昨日も家でゆっくりできましたし、今日は全然元気ですね」と笑顔を見せた。

侍ジャパンでは、自らに求められていることを十分に認識してきた。パ軍から「特例」を認められたこともあり、合宿には初日から参加。寄せ集め集団の中で、固くなりがちな上下関係の枠を和らげ、一体感を強めた。そんなダルビッシュの姿を前日、イチロー氏が絶賛。その言葉の意味をダルビッシュは、真っすぐに受け止めた。

「イチローさんに褒められることなんてないと思うので(笑い)、こういうところで褒めていただけるというのは本当に光栄です。イチローさんが前回09年に出られたのが35歳くらいで同じくらいの年齢。いろいろチームのことをしなきゃいけない中で、ああやって日本代表に時間を割いてくださっていたので。自分もこの年齢になってきてますから若干意識はしました」。

当時のイチロー氏は、自らバスや焼き肉店を手配し、食事会を開催。グラウンド以外でも心を砕き、後輩たちを支えた。そんな背中を見てきたダルビッシュは、イチロー氏の「魂」をしっかりと受け継いだ。

「イチローさんと自分のやり方は違ったと思いますけど、すごく置かれている立場というのは似ていたので、イチローさん結構大変だったんだなとか、いろいろ考えることはありましたね。いろんな意味で自信になりました。そこはちゃんとできたのかな、というところはあります」。

この日は、キャッチボール、遠投など軽めのメニュー。1週間後に迫る開幕へ向けて、今後の調整は簡単ではない。ただ、WBCでの疲労や調整難を言い訳にするつもりはない。「普通の日常に戻ったので、すべてがリラックスしている感じがします」。目指すは、WBCに続く「ダブル世界一」。パ軍に戻っても、ダルビッシュのリーダーとしての自覚は変わらない。