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2023年07月04日(火)19:16 pm
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーやマックス・フェルスタッペンが2026年に導入される新たなF1技術レギュレーションに疑問を呈する中、メルセデスF1チームの代表を務めるトト・ヴォルフはF1が2026年に導入を予定している新レギュレーションを修正したり、導入を延期したりする可能性は「ゼロ」だと主張した。
■2026年導入の新F1技術ルールに疑問を呈したホーナー
今季のF1第10戦オーストリアGPが開催された先週末のレッドブルリンクでは、レッドブル・レーシングを率いるホーナーと現在ドライバーズランキングトップに立っているフェルスタッペンが、2026年に導入される新F1エンジンレギュレーションに対して懸念を抱いていることを認めた。
その新F1エンジンレギュレーションでは、パワーユニットと呼ばれているハイブリッド方式F1エンジンが発生するパワーのうち、電気パワーの方がこれまでよりも劇的に増加されることになっている。
ホーナーによれば、これにより、すでに重過ぎるとの批判もあるF1マシンがさらに30キログラムも重くなってしまう可能性があると言う。
「必要となる冷却装置によってスポーツカー並みの重量になるだろう」
「技術的フランケンシュタインのようなものを創造しないようにする必要がある。そうなればシャシーでその差を埋め合わせることが要求されることになるだろう。我々は、トウの効果やDRS(空気抵抗低減システム/可変リアウイング)の効果がなくなることを心配しているんだ。なぜなら、事実上、常にその状態で走ることになるからだ。内燃機関はバッテリーを充電するための発電機にすぎなくなるよ」
「私は、燃焼と電気パワーの比率を調整するだけで、それに簡単に対処できると思っている」
そう語ったホーナーは、ドライバーはバッテリーを充電することに必死になるため「ストレートでシフトダウン」するようになるかもしれないとも語り、次のように付け加えた。
「私もFIAが非常に真剣に取り組んでいることはわかっている。シミュレーションはより高度になっているし、彼らはそれを非常に注意深く調べているよ」
実際のところ、最近のF1委員会では、2026年から使用されるバッテリーの能力がレギュレーションが定める非常に高い目標についていけるかどうかに関して懸念の声が上がったと伝えられている。
■正しい方向性だとは思えないとフェルスタッペン
2021年と2022年のF1チャンピオンであるレッドブルのフェルスタッペンもこれに関して次のように語った。
「それについては僕もチームとも話をしてきているよ。僕もすでにシミュレーターでそのデータを見たんだ」
「僕には、それはかなりひどいものに見えるよ。最強のエンジンを持つ者が大きな恩恵を受けるというような感じになりそうだ」
フェルスタッペンはさらに、空気抵抗の削減を補うためにアクティブ・エアロダイナミクスの導入が必要となるだろうと言われていることにも言及し、もしもそうなればマシンがドライブしにくいものになるのではないかと懸念している。
「僕はそれを自分でコントロールする方が好きなんだ。もし、システムが自分に代わってそれをコントロールしなければならなくなるとしたら、それが正しいやり方だとは僕は思わないよ」とフェルスタッペン。
「僕たちはこれを真剣に検討しなければならないよ。だって、2026年はそんなに先のことではないからね。そして、現時点では、それは僕にとってすごくワクワクするようなものではないよ」
■2026年のルールが変わる可能性は「ゼロ」だとヴォルフ
こうした中、51歳のオーストリア人であるトト・ヴォルフは、2026年のレギュレーションに大きく修正を加えようとする動きには断固反対すると語っている。
「このレギュレーションの策定プロセスには全メーカーが関わっていたんだ。妥協が成立し、最終的にアウディがこのスポーツに加わり、ホンダが残ることになった」
「我々のシャシー設計者たちも確かに『どうやってこれをやるんだ?』と言っているよ」
そう認めたヴォルフは、次のように続けた。
「だが、これらのルールが変更されたり、延期されたりする可能性はゼロだよ」
「世界はエコロジーに関連した革新を示す必要があるし、我々はそれを楽しみにしているんだ」
■ホーナー発言の「真意」は?
ヴォルフも、ホーナーが指摘したように、F1はマシンの重量とサイズを増加し過ぎないように取り組む必要があるということは認めている。しかし、ヴォルフは、ホーナーが2026年のレギュレーションに対して大げさに疑問を投げかけている裏には別の理由があるのではないかと考えているようだ。
「彼は自分のエンジンプログラムがうまくいっていないことを心配しているのだろうと私は推測しているよ。そのため、彼はこのレギュレーションを撤廃したいんじゃないかな」
そう語ったヴォルフは、次のように付け加えた。
「このような発言の背後にある動機については、常に疑問を抱くべきだよ」
実際のところ、レッドブルは現在のエンジンパートナーであるホンダとの関係には2025年限りで終止符を打ち、2026年以降は自分たちのエンジン部門であるRBPT(レッドブル・パワートレインズ)で製造したエンジンを搭載することになっている。
そして、レッドブルは2026年に向けてフォードと共同で独自エンジンの開発プロジェクトに取り組んでおり、フォードが主に電気システムの方を担当することになると言われている。
かつてF1で大きな実績を残したフォードエンジンだが、それは現在のハイブリッド方式エンジンが導入されるはるか以前のことだ。現在はホンダエンジンの助けを借りてトップを独走しているレッドブルだが、2026年以降に自分たちで製造するF1エンジンに果たしてどれだけの戦闘力を見込めるのか、不安が全くないと言えば嘘だろう。
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