【宮城野親方の目】熱海富士が大関に受けて立ち驚き「すごいのが出てきた」 - スポーツ報知

◆大相撲　▽九州場所１２日目（２３日、福岡国際センター）

　西前頭８枚目・熱海富士が初の結びで大関戦初勝利という大仕事をやってのけた。豊昇龍を土俵際で突き落として逆転。２敗でトップの座を守った。先場所、優勝決定戦に進出した２１歳の若武者が、今度こそ賜杯をつかみにいく。

　＊　＊　＊　＊　＊

　熱海富士は、私も「どういうこと？」と口にするくらい堂々たる姿でした。大関の豊昇龍を相手に、胸からいく立ち合いでした。まわしを許し、四つに組んだら勝つのは難しいですから、頭から当たると予想していました。それに反して、実にスケールの大きな相撲を取りました。

　大関に対して受けて立つ形となる立ち合いを選んだことには驚きです。先場所、優勝決定戦の土俵に立った経験が生きているのでしょう。初めての結びでも緊張感は見られませんでした。逆に頭から当たった豊昇龍にも、立ち合いで負けていませんでした。土俵際の場面も、体が硬くなっていたら回り込めず足が出ていたことでしょう。豊昇龍の方が硬さがあり、最後は足が出ていきませんでした。

　熱海富士は２１歳ながらこの落ち着きぶり。すごいのが出てきたな、という印象です。霧島と並ぶ形で残りは３日間。「まだまだ」と自分に言い聞かせながら、一番一番取ってほしいです。（宮城野親方＝元横綱・白鵬、スポーツ報知評論家）

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