野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」は21日(日本時間22日)にアメリカ・マイアミでの決勝で日本代表「侍ジャパン」が連覇を狙ったアメリカ代表を3-2で破り、今大会7戦全勝で3大会ぶり3度目の優勝を飾った。先発の今永が二回に先制ソロ本塁打を打たれたが、その裏に村上の本塁打などで逆転し、四回に岡本のソロ本塁打で加点。八回に登板したダルビッシュがソロ本塁打を打たれ、1点差に迫られたが、7投手の小刻みなリレーで強打のアメリカ打線をかわし、最終回はクローザーとして登板した大谷が締めた。
(→ 大谷翔平の決勝戦での登板をエンゼルス球団が容認 )
(→ アメリカ代表ってどんなチーム? )
(→スタメン詳細は こちら )
第1回大会(2006年)で投手コーチを務めた鹿取義隆さん(元巨人、西武)のライブ解説とともに試合を振り返る。
金メダルを首にかけた日本チーム。大きな輪の中で胴上げが始まり、栗山監督が10度、宙に舞った。続いてダルビッシュ、大谷と続き、新戦力で活躍したヌートバーも日本式の胴上げで満面の笑みを見せた。(→ 鈴木誠也、栗林良吏のユニホームも歓喜の輪の中 )
今大会の最優秀選手(MVP)には大谷翔平(エンゼルス)が選ばれた。「二刀流」で出場し、3試合登板で2勝1セーブ、打っては7試合で23打数10安打、8打点だった。
【試合経過】
アメリカ 010 000 010=2
侍ジャパン020 100 00x=3
【九回】日本は7人目の継投で大谷がマウンドに。今月30日には大リーグの開幕投手を務めることが決まっている。先頭打者に四球を出したが、続く1番ベッツを二ゴロ併殺打に仕留めると、エンゼルスの同僚の2番トラウトには160キロの速球を連発して空振り三振でゲームセット。(→ 僚友トラウトからゲームセットの三振奪う )
鹿取さんの総括 「最後の大谷とトラウトの勝負は本当にしびれた。ど真ん中の速球でもスピンが効いていて、コースに関係なく力のある球を投げていた。気迫が乗り移っていたと言うのか、スライダーの曲がりもすごかった。打って投げて走って、大谷の大会と言ってもいいくらい。しかし、日本らしいつなぎの野球ができたことが優勝につながった。今日の試合で言えば、投手陣が7人の継投で強力なアメリカ打線を2点に抑え込んだ。これだけつないで誰も崩れないというのは、なかなかできることではない。14年ぶりの優勝は日本の球史に残る戦いだった」
【八回】日本は6人目のダルビッシュが登板。1次ラウンドの韓国戦、16日の準々決勝に続く今大会3度目のマウンドだ。(→ 14年ぶりのWBC決勝マウンド )打席を終えた大谷も、急ぎブルペンに戻って投球練習を始めた。ダルビッシュは一死から昨季本塁打王のシュワーバーに右中間へのソロ本塁打を喫した。3-2と日本のリードは1点に。その裏の日本は二死から四球の山田がこの試合2つ目の盗塁を決めたが後続が続かず。(→「 トリプルスリー 」の本領発揮)
【七回】日本は5番手の大勢がマウンドに。(→ 大勢が口にしたWBCへの思いと、栗山監督の期待は )先頭打者にストレートの四球、続く打者に左前に運ばれてピンチを招いたが一死一、二塁から3番ゴールドシュミットを遊ゴロ併殺で切り抜けた。その裏の日本は一死から、この日4打席目の大谷が「シフト」を敷いていた遊撃手への内野安打で出塁(リプレー検証でも判定変わらず)したが、吉田は三ゴロ併殺打。
鹿取さん 「伊藤はスライダーを交えるなどして持ち味を発揮し、安定感のある投球だった。大勢は無死一、二塁としてしまったが、得点圏に走者を背負ってからは低めにフォークを集め、彼の特徴であるシュート回転の効いた強い球も投げられるようになり、ピンチを断ち切った」
【六回】日本は4番手の伊藤大海(日本ハム)がマウンドへ。危なげなく三者凡退に切り抜け、マリンズから3つ目のアウトを空振り三振で奪うと派手なガッツポーズ。(→ 滑りやすいWBC球に慣れるため、伊藤が秘策で取り寄せた「練習球」とは )
その裏の日本は、二死から山田、源田、中村の3連続四球で二死満塁としたが、ヌートバーが右飛で三者残塁。試合は終盤に入った。
鹿取さん 「日本は惜しいチャンスを逃した。満塁でヒットが出れば2人生還できただけに、ヌートバーが早いカウントで甘い球を見逃したのは残念だった」
ダルビッシュ有がブルペンに向かった。その後大谷もブルペン入り。(→ ダルビッシュ、宮崎でのコーヒーの思い出 」)
【五回】日本は3番手の高橋宏斗(中日)がマウンドに。日本代表最年少の20歳だ。内野安打など2安打を打たれたが、2つの三振を奪うなど無失点で切り抜けた。
(→ 明徳義塾の馬淵監督に「松坂より上」と絶賛された高校時代の高橋宏斗 )
鹿取さん 「高橋宏斗はストライクとボールがはっきりしていたが、強い球を投げられていた。腕の振りは戸郷と同じくらいよかったし、フォークにキレもあった。日本は、真っすぐと落ちる球を持つ投手を主体に継投している」
その裏の日本は一死から近藤が四球を選んだが、大谷が二ゴロ、吉田が投ゴロ。
鹿取さん 「岡本は、少し詰まりながらもしっかり押し込んでいった。昨日は相手の好守でホームランを1本キャッチされたが、今日は文句なし。試合の展開から言っても、大きな追加点だ」
【四回】2イニング目の戸郷は下位打線を三者凡退に。その裏の日本は先頭の岡本の左越えソロ本塁打で1点を追加した。
鹿取さん 「戸郷が2回無失点。彼の持ち味である適度な荒れ球が効果的だった。相手打者は的を絞りづらかったと思う。1イニング目の三回、トラウトから始まる強打線に対して思い切って勝負していた。そこが今日の一番素晴らしいところで、腕の振りは最近で一番よかった」
【三回】日本は2番手の戸郷がマウンドに。先頭のトラウトをフォークで空振り三振に取る好スタートも、二死から連続四球で打者は二回に本塁打のターナー。ここは空振り三振で切り抜けてガッツポーズ。その裏の日本は四球で走者を出したが、村上の二ゴロ併殺打で、3人で攻撃終了。(→ ダルビッシュから刺激受けた戸郷「ああなれたらメジャーに行けるんだな」 )
鹿取さん 「両チームとも投手交代のタイミングが早い。最後の一戦で、全員つぎ込んでいこうという姿勢が見てとれる。ベンチからすれば、交代期が遅れて後悔しないよう早めに替えていくのだろう」
鹿取さん 「村上は、ほぼ真ん中の真っすぐを一振りでよく仕留めた。昨日のサヨナラ打で吹っ切れたのではないか。そういったものがないと、バットがすんなり出てこない。彼らしいホームランだった」
【二回】アメリカは一死後、今大会絶好調のターナーが今永のストレートを捉えて左翼席に運ぶソロ本塁打で1点先制。この日は9番から6番に打順昇格したターナーは今大会5本目の本塁打だ。なおも2安打を打たれた今永だが、何とか踏ん張った。
その裏の日本、先頭の村上がケリーの初球を右中間二階席に運ぶ特大の本塁打でたちまち追いついた。(→ 「村神様」ついに降臨 )さらに岡本、源田のヒットと中村の四球で満塁。アメリカは早くも先発ケリーをあきらめ、2番手左腕のループにスイッチ。日本は続くヌートバーの緩い一塁ゴロの間に岡本が生還して1点を勝ち越した。
鹿取さん 「一回の今永は、不運な二塁打はあったものの、高めの速い球と低めの緩い球で、高低も緩急もうまく使えている。この投球ができれば打者の目が付いていかない。ターナーに打たれたのは真ん中低めの真っすぐで、少し甘かった。さすがに“当たっている”ターナーは見逃さなかった。カウントが少し悪くなるかもしれないが、速い球は高めの方が有効ではないか。低めでコースが甘くなると、手が伸びて長打を打たれる可能性がある」
【一回】アメリカは一死から2番トラウトが右翼前のポテンヒットを二塁打にする快走で、いきなり得点圏に走者を進めたが、今永は踏ん張り、ゴールドシュミット、アレナドの中軸を打ち取った。その裏の日本は二死から大谷が四球を選んだが、続く吉田は見逃し三振に倒れた。2番近藤のピッチャー返しは中前打かと思われたが、一、二塁間に3人の野手を置くアメリカのシフトにかかり遊ゴロに。アメリカも日本のデータを良く分析しているようだ。(→ 極端な守備シフトは今季から大リーグでは禁止 )
試合直前の鹿取義隆さん 「アメリカ打線は、準決勝まで4本塁打と絶好調だったターナーを6番に上げてきた。つながりを重視したオーダーだろう。どこからでもホームランが飛び出す打線なので、日本バッテリーは大胆かつ細心な投球を心がけたい。日本打線のオーダーは前日と変わっていない。昨日は良い勝ち方だったので、この雰囲気のまま試合に入っていってほしい」
試合前のセレモニー、日の丸を手にした大谷翔平と星条旗を手にしたマイク・トラウトをそれぞれ先頭に、日米の選手たちが外野のポール際からグラウンドに入場し、選手紹介が始まった。場内はすごい歓声だ。そしてアメリカ、日本の順に国歌斉唱。
スターティングメンバーが発表され、日本は投手を除いて前日の準決勝と同じ布陣。クリーンアップは準決勝で活躍した3番・DH大谷、4番・レフト吉田、5番・サード村上で、捕手は中村悠平(ヤクルト)。
日本が勝てば3大会ぶり3度目、アメリカなら2大会連続2度目の優勝となる一戦で、日本は左腕の今永昇太(DeNA)が先発する。ダルビッシュ有(パドレス)は救援待機と見られ、試合直前には(→ 大谷翔平の決勝戦での登板をエンゼルス球団が容認 )したという現地報道が出た。日本の防御率は今大会ここまで2点台と安定しており、最後の大一番でアメリカの強力打線に立ち向かう日本の継投にも注目だ。アメリカは昨季13勝右腕のケリー(ダイヤモンドバックス)が先発予定。
(→ 「何でも屋」の覚悟だった今永 が決勝戦の先発マウンドへ)
(→ 準決勝の日本-メキシコ戦を詳しく )
(→大谷が吠えた、村上が決めた… メキシコ戦写真特集 )
(→負ければ終わり… 準々決勝以降のトーナメント表 )
メンバー全員を大リーガーで固めたアメリカは、1次ラウンドこそメキシコに次いで2位通過だったが、準決勝ではキューバに大量14点で大勝した。昨季ナ・リーグ本塁打王のシュワーバー(フィリーズ)を筆頭にシーズン本塁打数30~40本台の打者が上位にずらりと並ぶ重量打線が本領を発揮しつつある。今大会は6試合で10本塁打。大谷翔平の同僚のトラウト(エンゼルス)が7打点、さらに“恐怖の9番打者”と呼ばれるターナー(フィリーズ)が4本塁打、10打点と絶好調で、決勝では打順が6番に上がった。。
(→ 大谷、村上、佐々木~野球少年だったあのころをWBCの歴史と重ねる )
(→3・9中国戦プレーバック~ 「二刀流」大谷にヌートバーが衝撃デビュー )
(→3・10韓国戦プレーバック~ ライバルから13点で大勝、吉田5打点 )
(→3・11チェコ戦プレーバック~ 佐々木朗希が8奪三振で164キロ )
(→3・12オーストラリア戦プレーバック~ 大谷が看板直撃の特大3ラン )
(→3・16準々決勝イタリア戦プレーバック~ 大谷先発にダル救援、岡本5打点 )
(→WBCの 日程 )
(→ 侍ジャパン選手名鑑 )
(→ 日本はアメリカよりも上という意外…野球世界ランキング )
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