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WBC優勝の侍ジャパン、大谷翔平と栗山監督の「二刀流」の物語 - 読売新聞オンライン

 【マイアミ(米フロリダ州)=西井遼】野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)は21日(日本時間22日)、決勝が行われ、日本が前回覇者の米国を3―2で破り、2連覇を果たした2009年大会以来3大会ぶり3度目の優勝を飾った。1次ラウンドから7戦全勝だった。

 「もう、大丈夫なんだな」――。1次ラウンド初戦で中国と対戦した9日、栗山英樹監督(61)は、投手兼3番指名打者(DH)で出場した大谷翔平(28)(エンゼルス)を見ながらベンチでつぶやいたという。投打の二刀流として一回りも二回りも強くなった姿が、心底うれしかったようだ。

 大谷は2013年、栗山監督が率いる北海道日本ハムファイターズに入団。2人はプロで異例の二刀流に挑んできた。「プロ野球をなめている」。懐疑的な見方がある中、まずは投手に軸足を置き、登板の前後は出場させない起用法から始めた。16年には投打で同時に出場させる「リアル二刀流」も本格的に解禁。故障のリスクに細心の注意を払いながら、慎重に二刀流の形を探った。

 18年に米エンゼルスに入団した大谷が、メジャーでも二刀流を貫いたのは「多くのファンの方々に応援していただいた。もう自分だけのものではない」との思いがあったからだ。その後、右肘や左膝の手術を乗り越え、投打で大活躍している。

 栗山監督も当然、まな弟子の姿を映像でチェックしていたが、一緒にプレーするのは実に6年ぶりだ。「実際に自分の目で見て成長ぶりを実感したんだと思います」。代表チームの関係者は、ベンチでつぶやいた胸中をそう推し量る。

 その 安堵あんど 感を示すように、大谷は1次ラウンド4連戦すべてに先発出場した。周囲には、2連勝で迎えた3戦目のチェコ戦で休養を与える考えもあったが、栗山監督はあっさりと先発を決断。たくましさを増した大谷に絶大な信頼感を寄せた。

 開幕戦は「大事なスタート。大谷翔平でいく、それだけです」。準々決勝は「投打の二刀流、それが彼のスタイル」と、要所ではリアル二刀流で出場させた。決勝は九回に登板して1点差を守り、優勝投手になった。大リーグでの活躍を夢見ていた大谷と、送り出した監督。6年後、2人がWBCで紡いだ第2章は最高の結果に帰結した。(米マイアミ、福井浩介)

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